ぱっと下を見たときに、ボールを拾うのも大変だと思った。フィールディングの練習をもっとやらないといけないとか、長身を生かして角度のある直球を投げさせないといけないとか、思わされるきっかけになりました。
藤浪のスローシャドーは、「この練習がいいかな」と思いついて、うまくはまったものだなと思います。
スパルタだった指導法が
選手の気づきを待つよう変化
僕は29歳で監督になりました。20代、30代、40代、50代と10年一区切りで考えると、今は「4代目」に入っていると自分では思っています。
藤浪とのすり合わせの話もそうですが、若い頃の「スパルタ」的なところから今は時代の変化もあり、「選手の気づきを待つようになった」と感じます。選手を見ていて、「ここをこうしたらいいのに」と思っても、すぐには言わなくなりました。「もうちょっと待って、自分で気づいてくれないかな」とか。すぐに指摘するより、もうちょっと自分で考えてやった方がいいから今は言わんとこうとか。
朝日新聞スポーツ部 著
やっぱり、選手が自分で気づいて、自分で会得した方がいいと思う。教えてもらったら、そのときはできても、すぐ忘れてしまうのもあるので。たとえば、「きょうはフォームのビデオを撮ろう」っていう風にして、選手がその映像を見て、自分の課題を見つけてスイングして。その次の段階で、僕が話した方がより良いかなとか。
選手には、「自分自身が自分をコーチできるようにならないといけない」と言っています。最終的には自分だけでは見えない部分があるから、プロの世界でもコーチがいます。
だけど、自分で「あ、こうなっている」っていうのが分かるように、自分の最大のコーチが自分になれるようにやろう、ということです。そのためには自分でちゃんと見ないといけないし、感じないといけないし、考えないといけない。
20代、30代の頃と比べ、僕自身が変わったのはそういう部分かもしれません。