【回答のポイント】最初に、眼鏡の定義と推定範囲を明確にする

短時間でどこまでの範囲を推定できるかを考え、眼鏡の定義や推定範囲の前提を面接官とすり合わせましょう。

 以下が回答例です。

推定対象である「眼鏡」を定義し、推定範囲を明確にする

「眼鏡」と言えば視力が悪くて購入するものを真っ先に思い浮かべますが、それだけではありません。

 紫外線や飛散物から目を守るサングラスや安全ゴ―グル、ブル―ライトカット眼鏡なども眼鏡の一種と言えますし、ファッションアイテムとしてのだて眼鏡もあります。

 このように色々なタイプの眼鏡がありますが、今回は「近視や老眼などの視力を矯正することを目的とする眼鏡」に焦点を絞って、その個数を推定していきます。

 また、この眼鏡の数については、個人が所有している数だけでなく、眼鏡店に商品や在庫として存在する数もありますが、今回は「個人が所有している眼鏡の数」について検討します。

眼鏡の数を「所有者数×平均所有数」に分解し、各要素を深堀る

 眼鏡の個数は次のように求められそうです。

 眼鏡を所有する人数×1人あたりが所有する眼鏡の数

 ここで、改めて眼鏡について考えてみると、近視は一般的に小学校高学年から中高生になった頃に始まるため、10歳未満の子どもで眼鏡を使用している人は少なく、40歳を超えると老眼になる人が増えてくると考えます。

 また、1人あたりが所有する眼鏡の数をイメ―ジすると、小学校高学年から中高生は基本的に1本の眼鏡だけを使用するのに対して、大学生や20~30代の社会人は利便性やファッション目的、経済的余裕の観点から複数本を所有する人が多いように思います。

 したがって、

・10~18歳(小学校高学年~中高生)
・19~39歳(大学生~社会人)
・40~59歳(社会人)
・60歳以降(シニア層)

 の4つの場合に分けることで、眼鏡を所有する人数や1人あたりが所有する眼鏡の数をより具体的にイメ―ジできそうです。

4つの場合に分けて数値設定を行い、眼鏡の数を推定する

 4つの年齢層ごとに、次の表の通り各要素の数値を設定しました。

就職試験で頻出のフェルミ推定、現役コンサルが攻略法をイチから解説『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』より

 具体的には、10~18歳はまだ近視になっていない人の割合が上の世代より多く、近視が回復することは少ないので年齢が上がるとともに所有者の割合は大きくなると仮定しました。

 また、40歳以降は老眼が始まり、老眼鏡を所有する人が多くなるとしました。

 なお、眼鏡を買い替えた後に、特に使ってはいない眼鏡を家に保管している人も多いと考え、年齢が上がるとともに所有本数は自然と多くなると考えました。

 これらの数字を掛け合わせて合計すると2億本(2億960万本)と推定できました。

 以上となります。ありがとうございました。

面接官からの質問と受け答え

――推定結果は、実際の値より大きいのか、小さいのか、どのように思いますか?

 実際の値よりは大きな数字になったのではないかと思います。

 今回の推定では、19歳以上は2~3本の複数の眼鏡を持ち続けるという前提で試算しましたが、実際には1本だけ所有している方も存在すると感じています。

――時間をかけて精度を高めるとしたら、どこを改善しますか?

 大学生や社会人、シニア層の所有本数をより精査できれば、さらに正確な値になると考えます。

 たとえば、日常的にコンタクトを使用する人は、主に自宅で使用する眼鏡を1本のみ所有していると考えられます。

 各年代で外出時にも眼鏡を着用する人の割合を推定し、外出時に眼鏡をかけていない人は1本、かけている人は2本以上として試算してみると、より実際の値に近づきそうです。

――「サングラス」や「ブル―ライトカット眼鏡」の本数も含めて推定する場合、どのように実施しますか?

 基本的なアプロ―チは眼鏡と同じですが、いずれもシニア層の利用は少ないように思います。

 また、度付きのサングラスやブル―ライトカット眼鏡もあるため、視力矯正目的の眼鏡の数と重複しないように注意する必要もあります。

 なお、サングラスについては、ファッションに対する意識の高い女性の方が、男性より所有率が高いのではないかと感じています。

 このように、年齢のほかに性別での場合分けができれば、より実態に近い値を推定できそうです。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)