就職先としてコンサル業界の人気が止まらない。給与の高さ、コンサルの経歴が転職の際に有利に働くことが他業界にはない大きな魅力だ。コンサル業界にはケース面接と呼ばれる独特の入社試験があり、総合商社や外資系投資銀行、スタートアップ企業でも実施されている。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームの入社試験に対して、現役コンサルタントや内定者の解答を集約した前代未聞の1冊だ。就活対策にはもちろん、コンサルの入社試験は思考のトレーニングにも最適だ。本稿では「ケース面接の答え方」について、本書から一部を抜粋して紹介する。

面接官が絶賛のケース面接受け答え、外資コンサルから内定が出る「説明の順番」Photo: Adobe Stock

 具体的にケース面接問題の検討手順を見ていきましょう。

 ケース面接は次の5つのステップを意識することで、難解な問題も自信を持って回答することができるようになります。

 ポイントは、すぐに答えを出そうとしないことです。

 まずはクライアントが置かれている状況を具体的にイメージし、与えられた問題を解決するための課題を構造的に整理してから、本質的な課題に対する打ち手を具体化していきましょう。

ステップ1:
クライアントの解像度を上げて、イメージを共有する

 ケース面接問題では全般的にクライアントの解像度が低いため、前提としてクライアントのイメージを具体化し、面接官と認識を合わせておく必要があります。

 たとえば、「あるレストラン」の売上向上策を検討するとして、「地方にある個人経営のレストラン」「大手ファミレスチェーン」では課題や打ち手に対する仮説(自分が現時点で最もふさわしいと考える仮の答え)は異なってくるでしょう。

 仮に、志願者と面接官の間でクライアントのイメージが異なっていれば、面接官は「なぜ、それが本質的な課題なのか?」「本当に実行すべき打ち手はそれなのか?」と疑問に思い、円滑なコミュニケーションが難しくなります。

 なお、ビジネスケースにおいてクライアントのビジネスモデルが理解できない場合には、検討前に面接官に質問しましょう。

「クライアントはどのような顧客に対して、どのような商品やサービスを、いかに提供しているか」について事前に理解しておくことで、その後、具体的に課題を洗い出すことができます。

ステップ2:
「問題」を「課題」に落とし込む

 クライアントを具体的にイメージできたら、問題を深掘りしていきます。

 ここで「問題」とはありたい姿と現状とのギャップや表出している現象であり、「課題」とは問題を解決するために取り組むべきことを意味します。

 面接官は基本的に「問題」を提示するだけですので、問題から課題への落とし込みは不可欠です。

 ビジネスケースであれば、売上の要素分解変化する経営環境の洗い出しと整理を行います。

 パブリックケースであれば、社会問題の背景にある課題の洗い出しや問題が発生するプロセスの整理を行います。

 いずれのケースにおいても、課題を洗い出し、構造的に理解することが重要となります。

面接官が絶賛のケース面接受け答え、外資コンサルから内定が出る「説明の順番」問題から課題を洗いだし、問題を構造的に理解する。『外資系コンサルの入社試験』より

視野が狭い人の受け答え

 問題から課題への落とし込みをせずに打ち手を検討してしまうと、抽象度の高い提案や、他の課題の存在に気付いていない視野の狭い提案になってしまうので注意しましょう。

 課題の構造化とは、「深さ」と「広がり」の双方を必要かつ十分に押さえ、課題の全体像を明らかにすること。

 最初からこのようなロジックツリーを作ろうとせず、まずは課題を洗い出し、その粒度を踏まえてモレやダブりのないように、いわゆるMECEに整理することがポイントです。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)