改正で知らない間に損をしない! 相続・贈与・実家の新常識#10Photo:PIXTA

空き家になった実家を売れなかったり貸せなかったりする原因の多くは、遺品整理が終わらないことだ。大量の遺品や家財を自力で片付けるのは困難で、専門業者に頼むことが解決への早道となる。特集『法改正で知らない間に損をしない!相続・贈与・実家の新常識』(全13回)の#10では、失敗しないための遺品整理のポイントと優良業者の選び方をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

作業後の値上げ、不法投棄、盗難…
遺品整理のトラブル経験は約4割

 遺品整理業者とのトラブル経験は約4割――。

 親が亡くなり、空き家となった実家を片付ける手段として普及しつつある遺品整理業者への依頼。しかし、トラブルも少なくない。

 遺品整理に関する情報サイト「みんなの遺品整理」を運営するLIFULL senior(ライフルシニア)が、遺品整理・生前整理を業者に依頼した約500人を対象に2023年夏に調査したところ、「トラブル経験あり」と回答した人は36.2%に上った。

 トラブルの内容別で見ていくと、「作業終了後の理不尽な値上げ」が9.4%と最も多かった。続けて、「サービスのクオリティーが低かった」と「不適切な価格での買い取り」が8.6%で並び、「物の破損・乱雑な作業」が8.4%、「片付けごみの不法投棄」が8.2%、「強引な営業」と「物の紛失・盗難」がいずれも7.4%などと続き、その内容も多岐にわたる。

 遺品整理のサービスを巡っては、総務省が20年に、「法令上の定義や業法がなく、トラブルにつながりやすい」などとして実態調査を実施。調査結果の報告書では、09年以降にサービスを開始した業者が顕著に増えた点や、9割以上の業者が見積書は作成するものの、約3割の業者が契約書を作成していないことが確認できた、などと指摘している。

 相続した実家を賃貸・売却して活用するためには、遺品整理は避けられない。片付けの手間を考えると、業者に依頼するのは有効な選択肢だ。では、いったいどうすれば遺品整理で失敗しなくて済むのだろうか。

 02年に日本で初めて遺品整理専門の会社として創業した業界のパイオニアで、年間約2000件の遺品整理を手掛けるキーパーズ代表取締役の吉田太一氏に、遺品整理を成功させるコツや失敗しないための業者選びのポイントについて解説してもらった。