東京都「出生率0.99」の衝撃、データ検証なき“俗説”根拠の対策では少子化は止まらないPhoto:PIXTA

2023年の出生数、過去最低
東京の合計特殊出生率は初の1未満

 6月5日に公表された人口動態統計(厚生労働省)で、2023年に生まれた日本人の子ども(出生数)は72万7277人で、統計がある1899年以降、過去最低だった。

 一人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す「合計特殊出生率」も、1.20まで低下、東京都は0.99と初めて1を切る衝撃的な数字となった。

 今国会では同日、児童手当の大幅拡充や医療保険料に上乗せした子育て支援金の創設などを盛り込んだ改正子ども・子育て支援法が成立、東京都でも出会いを後押しする独自のマッチングサービスを進めるなど、政府や自治体でさまざまな取り組みなどが行われている。

 だが、少子化対策や子育て支援の事業や議論の中身はというと、十分な検証がされていなかったり、若い世代はお金がないから子どもがつくれない、といった因果関係がしっかりと分析されていなかったりするものが多いと強く感じる。

 “俗説”に依拠した議論や原因の分析が不十分なままでは、「国策」を誤って大変な損失を被ることもあり得る。