化粧品大手の明暗、コーセーとポーラが「世界で戦う」ために今すぐ意識すべきことは?【楽ちん理解決算書】Photo by Masataka Tsuchimoto

会計知識ゼロの人でも「豚の貯金箱」と「風船」のイラスト図解でよく分かる!難しい財務も5分で理解できるメソッドで、決算書のポイントをつかみ、各業界の特徴や動向を探って行こう。第1回は、化粧品業界。国内外の化粧品会社4社を比較してみよう。【前後編の後編】(松本興産取締役/風船会計メソッド考案者 松本めぐみ)

>>前編『化粧品“真の勝者”は?コーセーとポーラが世界最大手のロレアルに決して負けない強み【楽ちん理解決算書】』から読む

PLの売上高・費用・利益を
風船のイメージにして理解しよう

 さて、BSに続いて損益計算書(PL)を「風船」のイメージ図解にしてみましょう。

図8 損益計算書を風船のイメージに置き換え図 損益計算書を風船のイメージに置き換え 拡大画像表示

・風船の全体:売上高を表す
・風船の中の重り:費用を表す
・残ったヘリウムガス:営業利益を表す
※利益には複数種類ありますが、「本業での稼ぎ」を判断するために本稿では営業利益で確認します

 なぜ、風船を使うのか。それは、売上高と費用と利益の関係を視覚的に理解するためです。子どもの頃、風船を買ってもらった時の気持ちを思い出してみてください。買ってもらった直後はガスがいっぱいで風船が浮いてウキウキするのに、しぼんでくるとガッカリした記憶はありませんか? それと似ていて、ガスで表した営業利益が少ないのは、悲しいイメージを表しています。

 手始めに、ロレアルのPLを風船の図に置き換えるとこうなります。

図9 L'Orealの損益計算書を風船のイメージに置き換えた図 L'OrealのPLを風船のイメージに置き換え。かっこ内は営業利益率 拡大画像表示

 ロレアルは売上高が6兆4706億円、営業利益が1兆2795億円、営業利益率が19.8%もある驚異的な優良企業です。

 続いて、4社のPLを風船にし、さらに散布図にして比較します。最後に、BSとPLの合わせ技の分析で理解を深め、コーセーとポーラの経営課題を探し当てましょう。