「2か月かけて10キロやせる」なんていうのは、ネットやテレビ、雑誌などに氾濫するダイエット広告ではわりとよく目にする数字です。しかし、食事量を減らすのならともかく、運動だけでこの数字を叩き出すなんて絶対にできっこありません。運動指導のプロが言うのですから、そこは間違いない。

 42.195kmのフルマラソンを走ったときのカロリー消費量は3000kcal以下であり、たとえフルマラソンを2回走ったとしても、体脂肪1キロ分(7000kcal)すら落とすことはできないのです。それを考えれば、30分くらい歩いたり走ったりしても、体脂肪消費という点ではほとんど何の役にも立っていないということがお分かりいただけますよね。

 この事実が分かっていないまま、運動だけで何とかしようとすると、「いくらがんばってもやせない」「いくら長く続けていてもやせない」という迷い道に入ってしまうことになります。結果、途中で嫌になってダイエットをやめてしまうことが多いのです。ですから、まずは、「運動しても期待するほどにはやせない」という事実を受け入れて、運動に対してヘンに期待をかけないことが肝心。この点をしっかり認識しておくことも、ダイエットをロジカルに進めていくうえでの大切な一歩だと言えるでしょう。

消費カロリーより摂取カロリーを
考えるほうが圧倒的にラク

 運動によるカロリー消費量が非常に少ないということは分かっていただいたとして、次に、カロリー収支をマイナスにするという点での「食事と運動の比重」をもう一度見直してみましょう。

 ご存じの方も多いと思いますが、スポーツジムやフィットネスクラブに行くと、自分が消費したカロリー量を食べ物のイラストで知らせてくれるトレッドミル(ランニングマシン)がある場合があります。走っている最中、一定のカロリーを消費するごとに、そのカロリー量に相当する食べ物のイラストが次々に液晶画面に出てくるのです。