トランプ前大統領Photo:The Washington Post/gettyimages

米大統領選、民主党と共和党の勢いが逆転
懸念される2020年選挙の再来

 米国の大統領選挙の投開票日まで約2カ月となった。8月22日に閉幕した民主党の全国大会では、ハリス副大統領に指名候補の座を譲ったバイデン大統領はもちろん、オバマ元大統領夫妻、クリントン元大統領夫妻など、錚々(そうそう)たるメンバーが登壇し、ハリス氏への支持を呼び掛けた。

 選挙戦半ばでの指名候補の撤退は、本来であれば選挙戦にとって打撃となるはずだが、ハリス氏への交代は、揺らいでいた民主党の団結を高め、劣勢だった局面を打開する転換点となっているようだ。世論調査では、若年層や黒人、ヒスパニックなど、本来、民主党の支持層だが、バイデン氏への支持が弱かった有権者層でハリス氏への支持が高まっている。

 民主党の結束力の回復を背景に、大統領選挙は接戦の様相を強めている。世論調査ではハリス氏が共和党のトランプ前大統領からリードを奪い、選挙の行方を決めるといわれる激戦州でもハリス氏に勢いが出ている。

 9月10日に予定されているトランプ氏との討論会などの山場も控えており、予断は許さないとはいえ、民主党と共和党の勢いは逆転した形だ。

 だが「ハリス氏勝利」が現実味を帯びるほど強まるのが、前回2020年選挙と同様に果たして選挙結果をトランプ陣営が認めるのかというリスクだ。