早すぎる幕開けとなった総裁選で、火花を散らす2人の首相経験者6月30日、自民党の元幹事長、二階俊博は地元の和歌山市で開かれた和歌山県連大会に出席後、総裁選に言及。このときの二階発言には、二つの意図があったとされる Photo:JIJI

「まだ総裁選まで日がだいぶある。総裁選の幕開け、スタートが早過ぎた」

 こう語ったのは自民党の元幹事長、二階俊博(85)だ。地元の和歌山市で開かれた和歌山県連大会後に、メディアのぶら下がりインタビューに答えたものだった。二階側近によると、二階発言には二つの意図があるという。一つは言葉通り、9月末の自民党総裁選まで2カ月以上もあることだ。

 総裁公選規程によると、所属国会議員の投票日は9月20日から29日までの間に設定される。これが二階の言う「早過ぎ」の理由だ。ただし今年に関してはこの日程が別の意味を持つ。首相の岸田文雄(66)が告示日から投票日までの間に国連総会への出席を検討しているからだ。具体的には「9月27日投票」が浮上している。

 過去には総裁選中の国連総会に外相が出席した例があるが、岸田は現職首相としての出席にこだわる。その背景にあるのが激変する国際情勢だ。先進7カ国(G7)首脳会議のメンバー国の英国、フランスで政権与党が窮地に立つ。11月5日の米大統領選の行方は不透明。ウクライナ戦争や中東情勢も混沌としている。岸田側近はこの国際情勢にこそ総裁選での岸田の勝機があると指摘する。

「岸田首相の豊富な外交経験が議員心理に影響を与え、続投の流れを生むのではないか」(側近)

 そして二階発言にはもう一つメッセージが込められている。