「この銃撃事件で“もしトラ”が“ほぼトラ”になったのではないか」(元外務省最高幹部)――。7月13日午後6時20分(日本時間14日午前7時20分)すぎ。米東部ペンシルベニア州のバトラーで開かれた共和党の集会で前米大統領のトランプ(78)が狙撃され、この模様をテレビがそのまま放送した。
突然、右手で耳を押さえながら壇上でしゃがみ込むトランプ。駆け寄った黒いスーツ姿のシークレットサービス(大統領警護隊)が一斉にトランプに覆いかぶさった。やがてトランプは立ち上がり、無事が確認されたが、顔には鮮血が流れていた。退避するトランプは集まっていた支持者に向かって右手の拳を高く突き上げた。
この瞬間をAP通信のカメラマンは逃さなかった。トランプの背後には青空に翻る星条旗。米大統領選の行方を決定付ける一枚になるかもしれない。日本政府関係者も「この写真でトランプは共和党だけでなく米国民のヒーローになった」と論評した。
国際社会全体で次期大統領へのトランプの返り咲きを巡って、「もしもトランプが勝ったら」と、侃々諤々の議論が続いていた。その「もし」が事件によって「ほぼ」に状況が一変したというわけだ。