アマゾン時価総額2兆ドル突破、175分の1で“ボロ負け”楽天はどこで道を誤ったのか?Photo:SOPA Images/gettyimages

AIブームに後押しされたハイテク株の上昇が続く中で、米国のEC大手アマゾンが世界6社目の「時価総額2兆ドル超」企業になりました。片や、日本のEC最大手である楽天の時価総額はアマゾンに比べて約175分の1しかありません。楽天は27期連続増収であるにもかかわらず、この「大格差」はどんな要因から生まれるのでしょうか。(トライズ代表 三木雄信)

米アマゾンが時価総額2兆ドルを突破!
約175分の1の楽天、大格差の要因は?

 6月26日、米アマゾン・ドット・コムの時価総額が2兆ドル(約320兆円)を超えました。米マイクロソフトやアルファベット(Google)、AI向けの半導体製造大手のエヌビディアなどに続いて世界6社目の、時価総額2兆ドル超企業の仲間入りをしたことになります。

 アマゾンの23年12月期業績は、売上高が5747億8500万ドル(同11.8%増、約81兆円)、営業利益は同約3倍の368億5200万ドル(約5兆円)と好調です。※日本銀行23年平均レート、1ドル=140.59ベース

 さて、アマゾンといえば世界最大のEコマース企業ですが、日本のEC最大手といえば、楽天グループです。同社の時価総額は、7月9日時点で約1.9兆円。業績を確認すると、23年12月期決算は、売上高が2.07兆円(前期比7.8%増)、営業損益は2128億円の赤字でした。

 もちろん、楽天はECというよりもモバイル事業の大赤字を要因とする、株式市場の評価ですから仕方ないとも言えます。しかし、アマゾンに比べて約175分の1の時価総額であることは、何とも残酷な現実に思えます。※7月9日時点のアマゾン時価総額2.07兆ドル、1ドル=160.95円で計算

 というのも実は、10年前の両社の時価総額に、ここまでの差はなかったのです。14年12月末の楽天の時価総額は、約2.2兆円。一方、アマゾンの時価総額は約17.3兆円(1ドル120.55円換算)だったので、アマゾンに比べて楽天は約8分の1でした。また、楽天の売上高は27期連続増収を遂げていて、一見すると成長しているのです。

図表:通期連結売上利益は2兆円突破引用:楽天 IR資料 24年2月14日 CEOグループ戦略プレゼンテーション 拡大画像表示

 では、どうしてこれほどにも2社の時価総額の差が広がったのでしょうか? 約10年前から振り返ってその要因を探りながら、2社の今後の行方を考えます。