親が毎日3~4時間
付き添わないと勝てない!

 あくまで私の見解ですが、中学受験というものは、学習指導要領を全く無視した形で成り立っています。御三家(※)や早慶の附属中の合格を目指すのであれば、入試に臨む段階で高校生レベルの学力が必要になります。

(※男子:麻布・開成・武蔵 女子:雙葉・女子学院・桜蔭)

 中学受験向けの学習塾の指導法は、大きく予習型と復習型に分かれます。予習型は、授業の前に教科書を読んでから受講するスタイル。復習型は、授業の後にプリントを学び直して、一度教わった内容を自分で再現できるようにするものです。どちらかというと、超難関校を狙う塾は復習型を採用していることが多いです。

 どちらがおすすめかは息子さんの性格によりますが、復習型の方が処理しなければならない情報量が多いのは確かです。復習型のレベルの高い塾になると、親が毎日3時間から4時間、子どもに付き添って伴走しないと、与えられたタスクをこなしきれません。

 親だけでは教えられない知識もあるので、「メイン」の学習塾と親の指導に加えて、それらをフォローアップする「サブ」の個別指導塾や家庭教師も必要になります。開成や桜蔭クラスを目指さない場合でも、中学受験にはそれくらいのエネルギーをかけなければなりません。

 中学受験・高校受験・大学受験の中で、最も大変なのは中学受験だと私は考えます。高校・大学受験に臨む中高生の時点では、子どもはすでに思春期を迎えて自我を確立させています。ですが、中学受験に取り組む小学生の段階で、子どもが自分でスケシュールを組み立てて、自発的に勉強時間を作るのは難しいところです。だから、両親が付きっきりにならないと競争を勝ち抜けないんです。

 ちなみに、Cさんは息子さんに「やりたかった野球を諦めさせられた」という印象を与えたくないとのことですが、そもそも野球は本当に息子さんがやりたかったことでしょうか。お父さんやお母さんから「野球っていいよね」「少年野球をやってみない?」と誘導したことはないでしょうか。

 私が見てきたほとんどのケースでは、子どもの習いごとはお父さん・お母さんが子どもの時にやりたかったこと。もしくは、個人的にやらせたかったことです。両親がそれらをやるように誘導しているのです。