かつての途上国・韓国の最低賃金は
いまや日本を追い抜いてしまった

 日本がいかに「安い国」になったか。それは、経済誌「エコノミスト」が発表する「ビッグマック指数」にも表われている。日本ではビッグマックは480円だが、韓国では約600円、アメリカでは約800円、スイスでは約1000円する。さらに安いのが、日本の賃金。

 たとえば、韓国では20年前の最低賃金は時給500円程度。日本の半分ほどやった。日本は30年前も今も、時給は1000円前後。韓国はその間に倍以上になって日本を抜いた。

 スイスなんて約4000円。アメリカは約2400円、ドイツやフランスも約2000円やから、日本は低すぎる。岸田首相は、30年代までに最低賃金の全国平均を1500円にすると言っているが、今すぐやれと。目標も2000円にすべき。

 この30年あまり、日本で普通に給料が増えていれば、時給は現在の2倍になってもおかしくなかった。高度経済成長のころは、給料は倍々ゲームで増えていったんやから。

 5%程度上がったって、この間ずっと給料が上がらんかったから、とても追いつかん。先に物価が上がり始めて実質賃金が目減りしているから、賃上げも帳消しよ。

 岸田首相が賃上げに光を当てたのは悪いことではないが、トータルで可処分所得を増やすことに加え、人々に安心感を与えることが不可欠。人は安心して初めてお金を使い、経済が回る。

 安心を生むのは、ほかならぬ負担軽減策。しかし、国の政策はそれと逆。「子ども・子育て政策」の必要性を謳いながら、一方で扶養控除を引き下げる方向。控除が少なくなるぶん、結局増税になる。子供のいる家庭は、これで安心できるわけがない。

 また、少子化対策の支援金制度は、支援とは名ばかりで実質は負担金制度。子育て層も含む形で、保険料上乗せを画策している。大企業はまだしも、自営業者が入る国保はしんどい。子供の数だけ保険料を取られるわけで、そりゃ子供を産もうとはならない。

 税金や保険料を合算した国民負担率が5割近い日本で、これ以上税金や保険料の負担を増やす必要はない。扶養控除をなくしてはならないし、支援金制度は見送るべき。