居酒屋チェーンのワタミが昨秋、外国人観光客があふれる、東京・築地の場外市場に新業態の「築地 牛武」を出店した。同店は、1本3000円という、超プレミアム価格の牛串を販売している。同社の渡邉美樹会長兼社長CEOに、今後の出店計画や海外事業戦略を語ってもらった。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
ワタミの新業態は
「1本3000円」の牛串
新型コロナ禍を脱した東京・築地の場外市場はインバウンド特需で様変わりした。道行く観光客の多くが外国人で、日本人からすると「手が出ない」価格帯の商品が売れているのだ。
同じ現象は、欧米やオーストラリアからのインバウンド客で賑わう、北海道ニセコ町でも起きている。スキーシーズンには、ある店が天ぷらそばを1杯3500円で販売していることがネット上で拡散され、話題になった。
日本の物価水準からすると、よほどの高級店でない場合、天ぷらそばが1杯3500円というのはかなり割高な部類だろう。しかし、欧米で1食20~30ドルの支払いは、ごく普通の金額である。
そもそも、日本の外食価格が“安すぎる”ことに加え、円安の影響もある。日本人からすると“法外”な金額であっても、インバウンド客からすると当たり前、ましてや本場の日本食を味わえるとあっては、“おトク”にすら感じるというわけだ。
日本の飲食店は今後、どういう基準で値付けをすべきなのか。原価を据え置いたまま、“インバウンド価格”に合わせて値上げをしてもいいのか。
そうした議論もある中で、居酒屋チェーンのワタミが昨秋、外国人観光客があふれる、東京・築地の場外市場に新業態の「築地 牛武」を出店した。同店は、1本3000円という、超プレミアム価格の牛串を販売している。同社の渡邉美樹会長兼社長CEOに、今後の出店計画や海外事業戦略を語ってもらった。ワタミが次に照準を定めるエリアとは。