南昌宏・りそなホールディングス社長インタビューPhoto by Yoshihisa Wada

金融業界を揺るがした「りそなショック」から今年5月で20年が過ぎた。節目の23年度、りそなホールディングスは新たな中期経営計画をスタートさせる。その中心となるのは、デジタルを軸とした他の地域金融機関や異業種との戦略的提携だ。再生を遂げ、攻めの姿勢を強める同社の戦略と意気込みを、南昌宏社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

公的資金返済と再生を経て
新中計の柱は戦略的提携に

 2003年3月、旧大和銀行と埼玉りそな銀行へ分割後の旧あさひ銀行が合併し発足したりそな銀行。だが、華々しい門出とは程遠いスタートだった。

 多額の不良債権を抱えていたりそな銀は、繰延税金資産の減額を求められ、大幅な自己資本不足に陥ったのだ。

 破綻の文字もちらつく中、政府は03年5月、金融不安の拡大を阻止するために公的資金の投入を決定。りそなグループにはピーク時に3兆1280億円が注入され、実質的に国有化された。

 そんな「りそなショック」から23年5月で20年が経過した。公的資金は15年6月に完済。経営健全化を最優先事項に掲げていた段階を脱し、脱銀行とデジタル戦略、リテール部門の強化をこの8年間進めてきた。

 収益面では、前中期経営計画初年度の21年3月期に当期純利益1244億円、22年3月期1099億円と苦戦したものの、23年3月期には1604億円と目標値をクリア。自己資本比率(CET1比率〈普通株式等Tier1比率:普通株式や内部留保で構成される自己資本の中核。バーゼル3最終化ベース試算値〉)は10%程度に到達した。

 公的資金の返済と経営再建というくびきから20年ぶりに解放されたりそなHDは、23年4月から始まる新たな中期経営計画で、どのように将来を描いているのだろうか。20年前、金融当局との折衝を担当していた南昌宏社長に、話を聞いた。

――「りそなショック」から20年がたちました。新たな中期経営計画に取り組むにあたって、どのような決意で臨みますか。