りそな銀行と埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行の4行を傘下に抱えるりそなホールディングス。ピーク時には3兆1280億円に上る公的資金が投入されていたが、2015年6月に完済。現在進める中期経営計画では、積み上げた資本の活用を視野に入れる。本格的な金利上昇が予想される中、どのような一手を考えているのか。南昌宏社長兼グループCEOに話を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
変化対応力が銀行格差に直結する
「資本の活用フェーズに入った」
――本格的な金利の上昇局面が訪れようとしています。今後の事業環境をどのように捉えていますか。
2023年後半から国内金利の上昇という事業環境の変化に直面していますが、今はそれに適応していく力が問われていると思います。特にALM(Asset Liability Management、資産と負債を総合的に管理するリスク管理手法)の優劣が、銀行間で表れてくるでしょう。
金融政策が今後どうなっていくのか分からない中で、今できることは構えを柔軟にしていくこと。金利がない異常な世界から正常化へ向かう今は、その準備が必要です。金融政策が変わらないことも想定し、柔軟さが重要なのだと思います。
――金利上昇が本格的に始まると、銀行間の格差がはっきりとしてくるのではと思います。強固な財務基盤を持つ銀行は積極的にリスクを取っていく一方で、保有債券の含み損が膨らむ銀行は、厳しい立場に追い込まれてしまう。
今期スタートした中期経営計画では、インオーガニック投資を拡充することを掲げています。15年に公的資金を完済して8年がたちました。資本の質・量の拡大を進め、過年度の決算でバーゼル3最終化によるCET1比率(その他有価証券評価差額金除き)は10.1%程度を達成し、いよいよ資本の活用フェーズに入っています。