トヨタ自動車の株主総会で豊田章男会長の取締役再任に対する株主賛成率が71.93%まで急落したことを受けて、豊田氏は自社メディアで「このペースで行くと(賛成率が落ちると)、来年、取締役にはいられなくなる」と危機感をにじませた。株主による経営監視の目が厳しくなる中、トヨタグループでは認証不正が相次いだり、取締役会の独立性が疑問視されたりしたことから、グループを率いる豊田氏に“ノー”を突き付けた株主が続出したとみられる。特集『AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦』の#7では、豊田氏に不信任判定を下した株主の正体に迫ると共に、トヨタグループ22社に属する取締役173人分の賛成率を全公開。特に「賛成率の低かったワースト10人」をリストアップし、株主からの信任が得られなかった理由を炙り出した。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
豊田氏と同様に「再任ノー」判定された
トヨタグループ企業の有名幹部とは
トヨタ自動車グループの経営幹部にとって、今年6月に開催された株主総会は試練以外の何物でもなかった。日野自動車、ダイハツ 工業、豊田自動織機に続き、トヨタ本体でも認証不正が発覚。グループのガバナンス(企業統治)の機能不全が露呈したからだ。
とりわけ豊田章男・トヨタ会長への風当たりは強かった。2009年6月に社長に就任して以降、グループ総帥として経営の舵取りを行なってきた豊田氏の責任を問う声が急速に高まった格好だ。
大手議決権行使会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスは、認証不正の最終的な責任は経営トップの豊田氏にあるとして、株主に対して再任案に反対するよう推奨した。
実際に、この助言は投資家の判断に大きな影響を与えたようだ。豊田章男氏の株主賛成率は71.93%。23年の84.57%からは12.64ポイント、22年の95.58%からは23.65ポイント落ち込む結果に沈んだ。不信任票が激増した状況について、豊田氏自身が自社メディアで、「このペースで行くと(賛成率が落ちると)、来年、取締役にはいられなくなる」と危機感をあらわにしている。
それでは、実際に豊田氏に「ノー」を突きつけたのはどのような株主だったのか。次ページでは、外国人・国内の機関投資家を含めた大株主リストを提示し、不信任判定を下した株主の正体に迫る。
同時に、トヨタ本体に、トヨタが資本参加するグループ企業を加えた「トヨタグループ22社の全取締役173人の賛成率」を全公開する。特に賛成率の低かった「取締役ワースト10人」をリストアップし、株主から満足な信任を得られなかった“共通の理由”を炙り出した。