しかし1990年代後半に、WHOとアメリカが基準値を下げ、126以上としました。それを受けて、日本でも同様の基準となったのです。

 それだけでも厳しいのに、40歳以上をもっと厳しく締め付けようとしても、従わないひとが多いのは仕方がないことです。

 表13に、令和2年度(2020年度)の東京都の特定健診の結果を載せました。

表13:空腹時血糖値令和2年度の東京都における特定健診の結果同書より転載 拡大画像表示

 特定健診の基準値は100未満なので、60代に入ると男性では2人に1人、女性でも10人中3人かそれ以上が基準値をオーバーしていることになります。

 また基準値を110未満としても、60代以上では男性の4人に1人、女性の5人に1人が境界領域以上になります。

 さらに糖尿病の可能性が高い126以上に限って見ても、60代以上では男女とも、それなりの人数がいることが分かります。

 もちろん健診は病気の診断ではないので、空腹時血糖値が126を超えていても、糖尿病と確定したわけではありません。

 病院でより詳しい検査を行い、医師が診断して、はじめて糖尿病かどうかが決まります。

血糖値のアップは膵臓がんのサイン?
前年から急上昇で数値126以上なら受診を

 血糖値が高いひとのなかには、自己流のダイエットで血糖値を下げようとするひとがいます。

 とくに最近は、低糖質ダイエットが人気です。しかし大半のひとは長続きしません。

 糖質ゼロのビールなども人気ですが、たくさん飲み食いするための、自分への言い訳になっていることも少なくありません。メーカー側も、実はそこを狙っているようにも見えます。

 また一時的にやせても、リバウンドでかえって太ってしまうひともいます。自己流ダイエットでは、かえって逆効果になることもあるので、注意が必要です。

 しかし血糖値が去年と比べて急に上がっていたら、ちょっと気になります。膵臓がんかもしれないからです。

 膵臓は血糖値をコントロールするホルモンを作っています。インスリンとグルカゴンです。インスリンは血糖値を下げ、グルカゴンは上げます。ちょうどブレーキとアクセルの役割を担っているわけです。ところが膵臓がんになると、これらのホルモンを作り出す細胞が破壊されてしまいます。