ただ、血糖値を上げるホルモンは、グルカゴンだけでなく、副腎髄質のカテコールアミンや甲状腺ホルモンなど、数種類が用意されているのです。一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。そのため膵臓がんになると、血糖値が上がってくるのです。

 実際、健診の血糖値がきっかけで病院を受診し、膵臓がんが早期発見できたというひとも少なくありません。

 空腹時血糖値が126以上で、とくに去年よりもかなり高くなっていたら、素人判断はせず、まずは専門医を受診するのが賢明だと思います。

「糖質ゼロ」はカロリーゼロではない?
知られていない「糖質」の意味を学ぼう

 糖質フリー・糖質オフや、糖質ゼロを謳ったビールが流行っています。最近は日本酒にも、同様の製品が出てきて、飲みたいが太りたくないというひとにとって、選択肢が拡がってきています。

 ただし「フリー」とか「ゼロ」といっても、本当に糖質が入っていないわけではありません。

 法律によって、飲料100ミリリットル当たり糖質が2.5グラム未満になっていれば「糖質フリー」や「糖質オフ」、0.5グラム未満なら「糖質ゼロ」と表示してよいことになっています。

 普通のビールや日本酒の糖質は100ミリリットル当たり3~3.5グラム程度ですから、「糖質フリー」「糖質オフ」はちょっと糖質が少なめのビールや日本酒ということになります。糖質にこだわるなら、やはり「糖質ゼロ」のほうがよさそうです。

 また「糖質」という言葉の意味が問題です。

 法律上の「糖質」とは、単糖類(ブドウ糖や果糖)と二糖類(砂糖や麦芽糖)に限定されています。もう少し分子が大きいオリゴ糖や、デンプンなどの炭水化物の制限はありません。

 単糖類や二糖類は甘味が強いですから、糖質フリーや糖質オフのものは「甘味を抑えた酒類」と思っておいたほうがいいでしょう。辛口が好きなひとには、いいかもしれませんが、決して「炭水化物ゼロ」ではないのです。