総合小売業イオンの復活
百貨店や大手スーパーなどの総合小売業は、ユニクロやニトリなどの自社ブランド品を展開する専門店や、コンビニ・ドラッグストア、ネット小売業に売上を奪われて衰退が続いていました。
ただし、イオンは総合小売業として競争力を取り戻し、成長するビジネスモデルを確立したと私は考えています。
ユニクロなど競争力のある専門店をテナントとして取り込み、家族でくつろげるエンターテインメント空間を作り、衣料品や食料品で魅力ある自社ブランド品を作る戦略が成功。
小売業、カード事業、テナント収入の3本柱で稼いで経常最高益を更新しています。ベトナムなどアジアでの収益も拡大しています。
インバウンド需要拡大は一巡
インバウンド(訪日外国人観光客の買い物)需要拡大が小売業の成長に寄与してきました。
ただし、継続的成長は見込みにくくなっています。
海外旅行に慣れたリピーターが増えるにつれ、日本での買い物は減り、現地での体験(コト消費)にお金をかける傾向が高まるからです。
観光業の成長は続きそうですが、物販の拡大はあまり見込めません。
内需産業が海外で成長する時代に
海外で稼ぐ産業というと、かつて日本では電機(エレクトロニクス)、自動車、機械がその代表でした。
自動車や機械は今も高い競争力を有しますが、家電などエレクトロニクス産業は競争力を失いました。
代わって海外で成長する産業となりつつあるのが、小売り、サービス、外食、食品などの消費関連産業です。
いずれもかつては日本国内だけでビジネス展開する内需産業でした。
海外で和食やラーメンがブームになっている恩恵を受けて、日本の外食業の海外出店が増えています。キッコーマンのしょうゆ、伊藤園の緑茶の海外売上も伸びています。
消費関連以外でも、金融業や陸運業などの内需産業がアジアや欧米で利益を成長させる時代となってきました。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)