深夜割引、もっと複雑なケースも

 さらに深夜割引には、流入/流出時刻の判定について、“例外的”な設定もあります。それは、区間ごとに料金を払う制度が導入されている高速道路/有料道路と他の高速道路を連続利用するケースでは、深夜割引の適用可否を、個別に判定する場合があるのです。

 たとえば東京外環自動車道(外環道)の草加ICを午前3時55分に流入し、午前4時10分に川口JCTを経由して東北自動車道(東北道)に入り、浦和本線料金所を午前4時20分に通過し、仙台宮城ICまでという走行を考えてみましょう。

 この走行では、外環道の時刻判定は川口JCTのアンテナで行うため、深夜割引が適用されます。しかし浦和本線料金所のアンテナであらためて通過時刻を判定することになる東北道については、その時刻が午前4時20分であることから、深夜割引の適用外となってしまうのです。

図表:外環道~東北道外環道は他の高速道路と連続利用した場合も別途、下限270円、上限1020円の距離別通行料金を採用する(ETC通行の場合。非ETCは1020円均一)。深夜割引も独自に判定するため、他の高速道路との連続利用には注意が必要 出典:NEXCO東日本 拡大画像表示

 東北道の川口JCT~仙台宮城ICの通行料金は、深夜割引の適用があれば5290円です。しかし適用外となると7550円で、2000円以上の差が付くことになります。外環道、東北道ともに深夜割引の適用を受けるためには、浦和料金所を午前4時前に通過する必要があるのです。

 こうしたケースは外環道だけでなく、近畿自動車道などでも発生します。深夜割引など、時間帯割引の時刻の判定については、NEXCO各社のウェブサイトなどで解説されていますが、その中身はわかりやすいとは言えません。

 やや簡易的にはなりますが、NEXCO各社の用意する「料金・ルート検索」のページで出発予定時刻もしくは到着予定時刻を入力すると、通行料金に加え、適用される割引が確認できます。

 このように、休日割引、深夜割引は、うまく活用すると数千円単位の節約が可能です。とくに深夜割引は、出発時刻をやや早める、高速道路からの流出時刻を調整するといった形で適用を受けることができるため、非常に有用です。

 ただ現在、この深夜割引の時間帯に合わせるため時間調整するトラックにより、前述のような本線料金所手前でのノロノロ運転や停車、さらには近隣SA/PAの駐車スペースの混雑が大きな問題となっています。そのためNEXCO各社は2024年度中を目処に、割引適用時間帯と割引対象となる走行分などを見直す予定です。

 次回は、「どれだけ乗り降りしても同料金」「使い方によっては単純往復するだけでも通行料金が大幅割引」という特徴を持つ「ETC周遊パス」について解説します。