2030年以降、
ピュアなガソリンエンジン車は絶対に作れない

齋:ここでハッキリ言っておきます。2030年以降、ピュアなガソリンエンジン車はもう絶対に造れない。これが既定路線です。エンジンに対する郷愁とか、ファンの熱い思いとか、そういうのとは一切関係なしに、法律がそうなっているからです。そしてそれを受け、マツダも必ず全電動化しますと宣言しています。だから、さっき言ったこととは真逆になりますが、ハイブリッドはあるかもしれません。

F:なんと!

齋:でも本当にそうなったら、もうロードスターの名を名乗ることはできなくなりますよね。ライトウェイトスポーツとして行けるのかどうか、全てはここにかかっている。だから次のロードスターがハイブリッド化して重くなったら、ロードスター以外の、何か別の名前を考えなければいけません。

F:最初にハイブリッドでやっておいて、バッテリーが進化して充電容量が増えてきたら、そのタイミングでBEVに変えていくとか。そんな方法も考えられますよね。

齋:いや、それは現実的じゃありません。EVとハイブリッドでは、プラットフォームが全然違いますから。僕らは1回プラットフォームを造ったら、最低でも10年は売らなきゃいけないんですよ。もしハイブリッドでプラットフォームを造ったら、じゃあ10年間もハイブリッドでやり続けるのですか、という話ですよ。3年後にバッテリーが良くなったからEVに変えましょうね、なんて言われても、対応しきれません。

マツダ ND型ロードスターマツダ ND型ロードスター(広報写真)

ポルシェ911カレラは
ハイブリッド化したが、どう思う?

F:うーむ。難しいですね。そういえば一部のモデルですが、ポルシェ911カレラがついにハイブリッド化しました。賛否両論がありますが、おおむね好意的に受け止められています。斎藤さんはカレラのハイブリッド化をどう受け止められていますか?

齋:良いと思いますよ。50kg増でしたっけ?ただ、ロードスターとは元の車重が違う。重量級のスポーツカーだからこそできるのだろうな、と思います。

F:なるほど。ロードスターのメインの市場であるアメリカはどうですか?彼らは次期モデルに関して、どのように言っていますか。

齋:アメリカは面白いくらい、軽量化に関して何も言ってこないです。ともかく「パワーパワーパワー!」の一点張り。パワーが出るのであれば、ハイブリッドでも何でもOKです。3リットルエンジンを積んだら「良くやった!」と言ってきそうな勢いです(笑)。「クルマがもう一回りも二回りも大きくなって構わないから、とにかくパワーのあるクルマを造ってくれ」と言うのがアメリカの市場です。現行のNDにしても、アメリカでは2リットルしか入れていません。基準となる1.5リッターのロードスターは、アメリカでは販売していないんです。

F:えーっ!