正解:買うべきでないのはE社。

E社は、在庫が過大

 業種や事業内容によって適正な在庫水準は異なりますが、E社の在庫は明らかに過剰です。

 月商(1ヵ月の売上)の何倍の在庫を持っているか計算してみましょう。

平均月商
=売上高60÷2ヵ月
=5

 

在庫(棚卸資産)÷平均月商
=50÷5
=10(在庫は月商の10ヵ月分)

 年商(1年間の売上高)が変わらないとすると、今ある在庫を売り切るのに10ヵ月もかかります。

 明らかに多すぎです。在庫が多すぎる会社は、次のような問題に苦しんでいる可能性も……

(1)大量に売れ残り「意図せざる在庫」が増加

 在庫が適正水準に減少するまで、製造業ならば減産が必要です。工場停止などによって業績がさらに悪化します。

 流通業ならば、次の流行をとらえるための仕入れができなくなり、売上不振の悪循環が続きます。

(2)不良在庫の発生

 コスト割れまで値下げしないと売れないかもしれません。

 流行が去って売ることができなければ、廃棄処分が必要です。不良在庫の処分で損失が発生する恐れがあります。

(3)在庫保管コストや借入金の金利負担が業績に悪影響

 在庫調整(在庫を適正水準まで減らすこと)が済むまで、業績悪化が続きそうです。

一方F社の在庫は……

 F社が月商(1ヵ月の売上)の何倍の在庫を持っているか計算してみましょう。

平均月商
=売上高120÷12ヵ月
=10

 

在庫(棚卸資産)÷平均月商

=15÷10

=1.5(在庫は月商の1.5ヵ月分)

 F社は、今ある在庫を1ヵ月半くらいで売り切ることができそうです。おおむね在庫は適正と推定されます。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)