ホンダ・日産・三菱自の結集に透ける危機感…中国「完全撤退」が言うほど簡単じゃないワケPhoto:Diamond

ホンダと日産自動車が8月1日、ソフトウエアの基礎技術の共同研究などを進めると発表した。この枠組みには三菱自動車工業も参画する。3社で連携を深め、開発スピードを加速できるかが課題だという。その1週間前にホンダは、中国におけるガソリン車の生産能力を削減する方針も明らかにしている。ホンダ×日産の連合に、三菱自動車が合流する背景には何があるのか。共通する危機感とは。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ホンダ×日産連合に
三菱自動車も合流の背景に「中国」

 中国から撤退ないし事業縮小するわが国や米欧の企業が増加している。すでに鉄鋼・自動車・石油化学などの分野で大手企業が中国事業のリストラを発表した。

 背景には、中国政府が産業補助金や工場用地の供与を増やし、中国企業は主要先進国の競合相手を下回るコスト負担で、研究開発や生産の体制を整備したことが挙げられる。電気自動車(EV)、車載用バッテリー、太陽光パネルなどの分野で、中国企業の製造技術と価格競争力は大きく向上した。

 先進国の企業からしても、中国側への製造技術や知財の流出を問題視している。そのため、従来のような合弁事業を続けることが難しくなっている。その意味では、先進国企業・中国企業ともにメリットが薄くなっている。

 ただ、中国は、先進国企業にとって重要な消費地だ。優位性がある分野においては引き続き、中国企業との競争に対応しつつも、成長を志向することになるだろう。その手法の一つとして、内外企業のアライアンスが増える可能性はある。EVなどで提携したホンダと日産の連合に、三菱自動車が合流すると報じられたのはその嚆矢(こうし)に映る。