日産自動車とホンダは、電気自動車(EV)の開発に向け、協業の検討を始める と発表した。部品やソフトウエアの共同開発で価格競争力を高めようとしている が、課題は山積みだ。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
駆動モーターの協業だけでは期待薄
本丸は車載ソフトの共同開発
「圧倒的な開発スピードで新興メーカーが市場を席巻しようとしており、過去の常識や手法にとらわれていては到底太刀打ちできない」。都内で開かれた記者会見で日産自動車の内田誠社長はホンダとの協業を検討する理由についてそう説明した。
両社が協議を始めた今年1月からわずか2カ月で、提携の検討開始の正式発表に至った。
発表を急いだのは日産のようだ。焦りの背景には、電気自動車(EV)の競争激化により、中国や北米で販売が伸び悩んでいることがある。
ただ、直近の決算からは、その深刻さは見えにくい。2023年4~12月期の売上高は前年同期比22.3%増の9兆1714億円で過去最高を更新。営業利益は65.1%増の4783億円に上った。
だが、この好業績は、値下げせずともクルマが売れる販売環境と為替差益効果によるところが大きく、“追い風参考”の記録でしかない。競合との商品力の差は、通期の販売台数見通しの下方修正に追い込まれたことに表れている。中国市場での不振や、新車の納入遅れなどが響いているのだ。次ページでは、日産の焦りの背景と、ホンダ側のメリットについて明らかにする。