一時期よりは落ち着いたものの、長らく続いた政府の金融緩和政策・超低金利の影響で、不動産市場は過熱傾向が続いています。一軒家の価格は1.2倍ほどしか上がっていない一方、マンションの価格は10年前の2倍近くに上昇。

 山崎さんは、今住んでいる築40年の戸建を売ってマンションに買い替えようとすると、資金が1500万円も足りないことがわかり、愕然としました。退職金の1500万円を全額使ってしまうと、老人ホームに入ることを想定した場合の資金もなくなってしまうことは、大きな不安材料です。

「終の棲家」は戸建か、マンションか?
満足度、幸福度、経済面から徹底検証

「年をとったら戸建よりマンションが安心」とは、よく聞く言説です。しかし、山崎さん夫妻のように、無理をしてまで本当にマンションに引っ越すほうがいいのでしょうか。「終の棲家」はマンションと一軒家どちらがいいのか、この機にきちんと検証してみましょう。

 まず「満足度」から比較してみます。

 ちばぎんのマイホームの調査によると、購入した人のうち「90%以上満足している」と回答したのは、一戸建で61.8%、マンションでは82.2%とマンションのほうが高くなっています。坂がなくスーパーまで近いなど利便性が高い「立地」、孤立化しにくく災害時に隣人と助け合える「防犯」、1階にオートロックがあるゆえの「治安」、そして猛暑が続く中夏は「断熱」効果が望めるといった、様々なポイントで満足度が高くなっています。

 戸建は隣近所の騒音がさほど気にならないし、子育て中などは庭で植物を育てるのを趣味にしている人もいます。とはいえ、高齢になると庭の手入れも苦痛です。マンションのベランダでこじんまりと野菜を育てる程度で十分でしょう。