次に「幸福度」について比較してみます。

 住宅幸福度分析レポートの「住み替え時の住まい評価」の平均評価点では、新築ではマンションより戸建が若干高くなっていますが、中古物件ではマンションが7.33点で、戸建の6.81点よりも幸福度が高くなっています。

 また、金銭的な余裕が精神的にも幸福度を上げるようで、賃貸の6.4点と比べて持ち家のほうが7.2点と高くなっています。しかし、「新築分譲マンション」が7.5点、賃貸でも「マンション」が6.7点と最高で、いずれも戸建よりもマンションの幸福度が高くなっていることがわかります。幸福度の点からもマンションのほうが良いようです。

高齢でのローンは審査が厳しい
経済面で有利なのは意外にも……

 経済面ではどうでしょう。 働いていなくても年金生活でも、70歳までは住宅ローンは借りることができます。ただ、現役で働いて収入がある若いときに比べると、審査は厳しくなります。毎月の返済に加えて、団信(団体信用生命保険)などにも加入しますし、金利が高くなる懸念もあります。 

 団信に加入すると、死亡した場合、保険会社が債務を肩代わりしなければならないので、病気をしやすい高齢者には厳しくなります。急に介護施設に入所することになった場合、早く売り現金にする必要がありますが、駅から近く、需要のある物件のほうが早く売却できます。お金を貸す銀行は、こういった点も確認します。

 そこで、銀行は親子ペアローン(親子同居の場合)やリバースモーゲージ(自宅を担保にしてお金を借りることができるシニア向けの融資制度)を勧めてきます。しかし、リバースモーゲージの場合、戸建は対象になりますが、マンションは大都市圏の物件しか対象にならず、また扱っているところは一部の銀行に限られています。

 家は建物を壊して更地にすれば土地を売却できますが、マンションの場合、土地分だけを売却することはできず、古くなると担保としての価値が下がります。経済面では、土地を重視するという意味では戸建のほうが有利と言えるでしょう。