株価暴落の直接の引き金は
日銀の植田総裁による利上げ発表だが…?

 株価暴落の直接の引き金になったと考えられるのは、日銀の植田総裁による利上げ発表でした。

 7月31日の日銀での記者会見では専門家からみると2つのサプライズがありました。想定よりも一会合早いこのタイミングで0.25%の利上げを発表したことがそのひとつ。そしてもうひとつが日本の政策金利の上限だと考えられてきた0.5%を「壁として特に意識していない」と植田総裁が発言したことでした。

 要するに市場参加者が想定していたよりも早いペースで、想定以上の利上げを行うと日銀総裁が宣言したのです。これに為替市場が敏感に反応します。会見前に153円台だった円ドルレートは急激に円高に振れて8月5日には141円台を記録します。わずか3営業日で12円もの円高が起きたのです。

 これで外国人投資家が日本株を一斉に手放します。日本だけが異次元の低金利政策を続けていたことで日本株は上昇が見込めるというのがアベノミクス以降の前提だったところが、その前提を変えると日銀総裁が宣言したわけです。

 外国人投資家にとって幸いなことに、円高に振れたことでドル建ての日経平均は暴落直前にはその前の週から+5%ほど上昇していて、7月11日の過去最高値と比べても▲3%程度しか下がっていませんでした。ですから手放すならこのタイミングとなったわけです。

 それで8月1日に▲975円安と日経平均が下がり、それが翌日には▲2217円安となり、最終的に月曜日には▲4451円安の大暴落を記録します。