「ロスカット組」と個人投資家が
暴落に拍車をかける

 次に、市場が暴落を始めると信用売買をしていた人たちが強制的にロスカットに追い込まれます。7月までは日経平均はどんどん上がりそうな状況でしたから、現物だけでなく信用でも買いを入れたひとたちがたくさんいました。信用取引とは簡単にいえば借金をして手持ち資金よりも多くの株を売買することです。

 そのタイミングで前述のように一か月かけて株価が下がります。最終的に▲25%安まで下がったのですが、そうなると追い証といって追加の証拠金を払わないと借金が維持できなくなります。私も過去に一度、追い証に追い込まれたことがありますが、心理的には心臓が止まりそうになるものです。普通の投資家なら追い証が発生する前に、自分のルールでロスカットをして株を売ります。

 今回、特に8月5日の最大の暴落の局面ではこうしたロスカット組が大幅に株価を下げたことになりますが、それは取引の特性上仕方のないことだったと思います。

 そして三番目に一般の個人投資家がこのようなケースでは売りに回ります。特に新NISAを始めたばかりの方は心配でしょうがなかったことでしょう。平常時は投資家は企業業績を見て株を売るのですが、暴落時には株価を見て株が売られます。これが連鎖したのです。