なぜ東大を目指したのか
“面白い”からだ!

 東大を目指した理由は20ほどあるのですが、特に重要なのは、「友人を作りたい」でした。

 芸人として活動していると、さまざまな人と出会います。そのほとんどが1回だけのお付き合いですが、中には連絡先を交換し、定期的に食事をする間柄の人もいます。しかし、互いに敬語を使い、敬称をつけて呼び合い、いささか緊張感を伴った関係です。一度喧嘩をすれば修復することは叶わないかもしれません。そのような関係にストレスはないけれど、中学校や高校で出会った友人たちとは差異があるように感じました。

「自分はもう友人ができないかもしれない。一生新たな友人ができない人生がどんなに暗く悲しいことか」

 友人を作るとしたらどこか考え、大学に行くことにしたのです。大学であればどこでもいいわけではありません。ぼくは日本大学を卒業していますが(先述の通り内部進学だったため、ほとんど勉強をしていませんでした)、35歳になってもう一度日本大学に入っても面白くありません。やはり、“面白い”ということは、自分の人生においてとてつもなく優先されます。

 芸人である自分がどこの大学に入れば面白いか。選択は一つしかありませんでした。

東大受験科目で
「フランス語」を選んだワケ

 受験を決めてまずやったことは、塾に入ることでした。

 受験勉強の経験がなくとも、独学で入れるほど東大が低い壁でないことは承知しています。幸い、友人が「敬天塾」という東大専門塾を営んでいたため、入塾を相談することにしました。この塾がなかったら、東大受験は諦めていたかもしれません。

 入塾後は受験科目を選択します。まず社会科目を日本史、地理、世界史の中から2つを選ぶ必要があります。ぼくは日本史と地理を選択しました。

 これまで日本史をほとんど勉強しておらず、日本人として自国の歴史を知ることが不可欠だと思っていたし、自分の持つ経済の知識が地理の分野と幾分か共通していたからです。

 勉強においては、自分の興味のある分野やすでに知っている分野を選択することで、学習効率を向上させることができると思います。

 さらに、ぼくは英語ではなく、フランス語を選択しました。