東大受験生の99.5%は英語で受験しますが、ごく一部フランス語、ドイツ語、中国語を選択する受験生がいます。

 東大入試の英語は特段難しく、0から勉強しても合格は勝ち取れないと判断し、塾の先生と話し合ってぼくはフランス語を選びました。ワインが好きだったことも、理由の一つです。

 英語以外の言語を選択する東大受験者は、文系であれば毎年25人程度で、そのうち5人くらいはぼくより年上でした。長い社会生活の中でドイツ語やフランス語を習得したため、英語を選ぶより合格の可能性が高いと判断したのでしょう。

 現役の受験者は高校で第二外国語あるいは第一外国語として履修した、あるいは、親の母語であるなどの理由で英語以外の言語を選んだ人が多いように感じます。なお、直近まで海外に住んでいた人は、帰国生枠で受験します。

1年目は合格まで100点超足りず
3年目は“仕事返上”で猛勉強

 無事に塾に入り、科目を選択しても、受験勉強の時間は限られています。東京で健康に生きていくために働かなければいけないし、恋人に幸せに過ごしてもらいたい。それでも、「1年目は猛勉強する」と決意し、1日平均10時間勉強をします。

 1年後、東大入試の開示点数を見ると、120点も足りませんでした。高校3年生でこれほど点数が足りない場合、東大に入るために浪人する人はほとんどいません。それだけ合格からはほど遠かったのです。

 2年目は、勉強時間を平均13時間に伸ばして挑みました。

 ぼくは会社員ではないので13時間勉強しても、税務調査や金融リテラシーに関する講演会、執筆、取材などといった仕事は問題なく継続することができます。しかし、2年目の開示点数を見ると50点足りない。

 実は受験を決めたとき、先生に言っていました。

「3年で合格します」

 だからラストイヤーです。絶対に今年合格する。そう決意して、勉強時間は15時間に伸ばしました。私生活で芸人仲間や旧友たちと会うことはほとんどなく、仕事は抑え、最後の3カ月は休暇をもらいました。

 恋人には1年目の大学入学共通テストのあとに振られていて、人と会うのは講演会やイベントだけになりました。

 結果は合格。38歳で、東大生になりました。