企業が行う「サービスを進化させる有料化」と「サービスを止めたい有料化」の違い最近よく見られるのが、サービス・レベル向上のためではなく、企業がそのサービスから撤退したいための有料化だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

サービス向上につながる
「進化させる有料化」

 消費者の一人としては、サービス料金は無料の方が嬉しい。ただ無料のままでは、サービスのレベルは向上しない。所詮オマケだからだ。

 たとえば、かつて百貨店の配送は、原則無料であった。そのため、荷物が重くて持ち帰りたくない顧客は、店で配送を頼んでいた。しかし物流コストが問題となり、百貨店の配送も有料化が進んできた。有料化に伴ない、配送時間の指定や、温度管理なども進んだ。すなわち、有料化がサービスのレベルを向上させたのである。

 無料の間は、オマケでついてくるわけなので、フィードバックもクレームも来ない。クレームが来なければ、改善のポイントも見えない。また無料である限り、そのサービスの価値は、誰にも測れない。 

 一方有料化すれば、クレームが入ってくる。「金をとっているのに、何だ!」ということで、サービスの受益者がサービスの質を評価する。また、払った料金に見合うサービスなのかも、問われてくる。

 さらに、対価をもらうことにより、そのサービスを提供する企業側で、コストとサービスのバランスも議論されるようになる。

 このようにして、サービス・レベルは向上していくと考えられてきた。過去、配送料、企画料(プロポーザル料)、施工料・セッティング料などが有料化されてきた。

 しかし、最近増えてきたのが、サービス・レベル向上のためではなく、企業がそのサービスから撤退したいための有料化(値上げも含む)である。小売り店のレジ袋が、その先駆例と言える。