親からお金の話をしやすくする
雰囲気づくりが大切

 親にお金のことを話すには、地道や根回しと段取りが不可欠であり、それを知れば知るほど、なかなかハードルが高いと感じる人が多いかもしれない。

 では実際、どれだけの人が親の財産について把握できているのだろうか。

 40~60代を対象にしたアンケート調査によると、親の預貯金や財産を把握しているかという質問に対して、「把握している」と回答した人は33.3%と3分の1に過ぎない。
出典※相続弁護士相談広場「40~60代に聞く、両親の預貯金・財産 把握状況に関するアンケート調査まとめ」
(2024年6月20日 ~21日実施)

 そして、「親の財産を把握していない」人に、今後、親の財産把握をしたいか希望を尋ねたところ、把握したい「肯定派」が35%、把握する気はない「否定派」が39.5%と拮抗する結果となっている。

 否定派の多くは、「親の財産は親自身が管理すべきで、子どもが口を出すものではない」と考えているのだろう。

 しかし、そうしなかったために、予想外のトラブルや問題が起きる可能性はゼロではない。

 いずれにせよ、親に対しては、なぜ子どもが親の家計や資産を把握しておく必要があるのか、という「目的」を理解してもらうことが肝要である。

 そして、冒頭の修一さんが放ったNGワードのように、まだまだ自分で管理できると主張する親に、「代わりに」やってあげるなどと無理強いしてはいけない。

 老後資金、介護、病気・ケガ、相続など、高齢者が必要となるお金の話題を出しながら、時間をかけて、話し合う必要性や意識を高めていくようにする。

 あくまでも「一緒に」考える、というスタンスで、親の方から子どもに自発的に申し出てくれるような雰囲気づくりが何より大切なのだ。