ドル円「140円」突破できるのか?デジタル赤字や新NISAの“新たな円安圧力”は残るPhoto:EPA=JIJI

対外投資の積み上がりで経常収支21兆円の黒字
貿易赤字とデジタル赤字で円安圧力残る

 この先、ドル円相場は、日米の金利差縮小などからドル安・円高方向に進んでいく公算が大きいと考えているが、近年、日本の収支構造の変化によって、円の需給は供給超過(円安要因)になりつつある。

 対外投資の積み上がりで経常収支は、2023年でも21.4兆円の大幅黒字だ。

 だが資源価格の上昇や海外生産比率の上昇で輸入の伸びが輸出を上回り、貿易収支が赤字に転じたのに加えて、「デジタル赤字」拡大によるサービス収支の赤字基調や新NISA(少額投資非課税制度)などが新たな円安圧力となっている。

 ドル円の短期的な方向性は、日米金融政策の動向による日米金利差や投機的な動きによるところが大きいが、中長期で見れば、こうした収支構造の変化が今後、ドル安・円高方向の流れにとって重要な要素になる。