閉校と跡地利活用で議論紛糾
住民感情としては受け入れられない?

 朝日新聞記事にも触れられているが、この旧校舎(鴻巣市立笠原小学校)は150年近くの歴史を持ち、市から閉校方針が発表された際に住民からの反対運動があった。閉校の2年前には存続を求めるオンライン署名も行われていたようだ。

 閉校が決まってからは、その跡地をどう利用するかについて住民へのアンケートや懇談会が行われている。

 令和4年3月に発表された「笠原小学校跡地利活用基本計画」(https://www.city.kounosu.saitama.jp/uploaded/attachment/7765.pdf)では、住民からは「高齢者福祉施設」「スポーツ系施設」「農産物加工販売施設」の希望が多かったが、「民間事業者の関心度が高く、事業参画の可能性が高いジャンル」を考慮した結果、この時点では「文化系複合施設」「賑わい系複合施設」など方向性を5つのジャンルに絞ったと記されている。

「文化系複合施設」のなかに「映画、ドラマ、CMの撮影所」とあり、今回のような撮影会も、広い意味でこの想定に含まれるのかもしれない。

 ただし、市の公式サイト(https://www.city.kounosu.saitama.jp/page/3172.html)によれば、これまでの小学校跡地での催しは「笠原のんびり市」「廃校ウォークラリー」といった地域密着型と思われる素朴なイベントであり、ここに突然120人のモデルが集う大規模撮影会が飛び込んできたら、住民が度肝を抜かれるのも想像できる。

 跡地利用の方向性としては「地域との関わりが持てる場所」や「多世代交流」が挙げられており、地域住民から「つい2年前まで子供たちのまなびやだった。住民感情として受け入れられない」(朝日新聞記事より)という声があったというのもうなずける。