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 企業や団体が「日本の産業をもっと良くしたい」と思って献金し、政治家もその産業全体のために使うのなら、僕は何の問題もないと思う。野党は揃って「企業団体献金は廃止すべき」と言っているけれども、企業団体献金がなくなったら選挙の費用がまかなえない。自民党はそこを心配しているんです。

 選挙のときに一般の有権者を説得するためには、地元の有力者に頼んで人を集めてもらう必要がある。そのためには有力者たちと会食することも大切でしょう。アメリカやヨーロッパでも同じようなことをやっているんです。ただ、日本と違うのは、飲み食いの費用についても「すべて公開されている」という点なんです。

官房機密費「受け取らなかった人が1人だけいる」剛腕政治家が明かしたジャーナリストの名前連載:「派閥とカネと自民党総裁選」に登場する大物政治家たち Photo by Wataru Mukai

 なぜ日本では公開できないのか? というと、これには理由があるんです。僕は自民党議員に「なぜ公開しないのか?」と聞いたことがあるんだけど、その議員は「公開すると、『あの人には3回も接待したのに、自分には1回だけか?』という人が必ず出てくる。だから公開できないんだ」と言っていましたよ。

 だから僕は、自民党が裏金をやめることはできないと思っています。裏金をなくすには、政権交代を実現させるしかないんです。アメリカやヨーロッパで政治資金の透明化を実現できているのは、政権交代がしょっちゅう起こるからですよ。「下手なことをやったら政権を奪われてしまう」という緊張感が必要なんです。