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――渡辺恒雄さんは「政界の腐敗を招いた原因は、経団連や経済同友会など財界の人間だ」と言っています。田原さんはどう思われますか?

 僕は財界が原因とは思わない。今回のような裏金問題の根本原因は2つあると思っています。

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 1つは「選挙に金がかかること」です。具体的に言うと、選挙区で当選するためには、その選挙区の有力者を口説かなきゃいけない。有力者には県会議員や市会議員もいるけど、そういった有力者に「地域の有権者に対して、自分に投票するよう呼び掛けてくれ」と頼むんです。そのためには、時間をかけて信頼関係を築く必要があるから、コミュニケーション構築のために飲み会を開く。この費用が「裏金」なんです。

 もう1つは「秘書の給与」です。日本では議員1人につき、給与を国費で負担する公設秘書は3人と決まっている。でもほとんどの議員は3人では足りないから、私設秘書を大勢雇っている。その給与に「裏金」が充てられているんです。

 アメリカやヨーロッパでは、選挙に際しての飲食費や秘書給与については、限度額を設けたうえで認めている。その代わり、使ったカネはすべて公開することを義務付けている。つまり透明化しているんです。

 これに対して日本は「一切ダメ」なんです。だから裏金化せざるを得ない。僕はこれに関しては、日本の法律が間違っていると思う。欧米のように「すべて公開」という原則をつくるべきだと思います。透明化しない限り、国民は納得できないよね。