「治療に関するもの」とはどういうことかというと、怪我や病気をしたり、体の具合が悪かったりして、それを「治す」ために買ったものであれば、医療費控除の対象となるということです。医者の処方のない市販薬でも、大丈夫です。

 一方、「治療に関するもの」でないものというのは、予防のためや置き薬のために買ったものなのです。つまり、具体的な病気、怪我の症状があって、それを治すために買ったものであればOK、そうじゃない場合はダメということです。

 でも予防か治療かというのは、曖昧な部分でもあります。

 たとえば、ちょっと風邪気味だなあ、薬でも飲んでおくか、と思って市販薬を購入した場合。これは予防なのか、治療なのか、判別は難しいところです。

 こういうときは、どう判断すればいいか?

 有体にいえば、自分が「治療だと思えば治療」ですし、「予防だと思えば予防」ということになるのです。

「治療のための費用」の範囲は
どこまでが含まれるのか

 日本の税制では、「申告納税制度」というシステムを採用しています。これは、税金は納税者が自分で申告し、自分で納めるという制度です。この申告納税制度のもとでは、納税者が申告した内容については、明らかな間違いがなければ、申告をそのまま認めるということになっています。

 だから、医療費控除の場合も、本人が治療のためと思って購入した市販薬については、税務当局が「それは治療ではなく予防のためのものだ」ということを証明できない限りは、治療のために購入したとして認められるのです。

 もちろん、これは治療か予防か、曖昧なものに限られます。明らかに予防のために購入したということが客観的にわかるものを「これは治療のために買った」と言い張っても、それは通りませんので、ご注意ください。

 ちなみに、医療関係の支出で、医療費控除の対象とはならないものの具体例が、税務当局から出されていますので、ご紹介しておきますね。

医療控除の対象とならない主な費用
(1)医師等に対する謝礼
(2)健康診断や美容整形の費用
(3)予防や健康増進のための健康食品や栄養ドリンク剤などの購入費
(4)近視や遠視のためのメガネや補聴器等の購入費
(5)お見舞いのための交通費やガソリン代
(注)親族などに支払う世話代や未払いの医療費なども対象とならない。