感情コントロールのコツを
身に付けてもらうには?

榎本博明『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)榎本博明『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)

 感情コントロールのコツとして、次のようなものがある。

(1)ひと呼吸置く

 イラっときたり、ムカッとしたり、自分の中に怒りの衝動が込み上げてくるのを感じたら、とにかくひと呼吸置く。すぐに反応せずに無心になる。それによって、衝動の流れを断ち切り、衝動的反応を防ぐことができる。

 相手に反応する前に黙って心の中で6秒数えてみる、という「6秒ルール」ともいわれるものだ。時が経ってみると、あんなことで怒りを爆発させなくてよかったと思うことは多いものである。

(2)怒りを鎮めるセルフトークを持っておく

 セルフトークとは、自分の中でつぶやく言葉のことである。頭に来たとき「なんてヤツだ、許せない」「もう我慢できない」などといった言葉をつぶやくと、余計にムカムカしてきて怒りを爆発させてしまう。そんなときは「大したことじゃない」「大丈夫、落ち着こう」「こんな人もいるんだな」「なんか見苦しいな」というような言葉を心の中でつぶやけば、怒りの衝動をうまく鎮めることができ、同じ土俵で争わずに済む。

(3)相手の視点に立ってみる

 嫌な態度や言い方をする相手の視点に想像力を働かせて、「自分が成果を出せていないから機嫌が悪いのかも」「何かムカつくことがあったのかも」などと勝手な推測をしているうちに、怒り衝動も鎮まってくる。

(4)ある意味で「上から目線」に立ってみる

 嫌な態度を取る相手でも、職場の仲間だったり、取引先の担当者だったりすれば、日常的に関わらないわけにはいかない。そんなときは、その相手に対して「上から目線」に立つのも有効である。「業者に威張り散らすなんて、よほど自信がないんだな」「見下される不安が強いのかもな。バカにされたくなくて、偉そうな態度を取っちゃうのかも」などと思えば、寛大な気持ちで接することができるだろう。

 すぐ感情的になってトラブルを起こすタイプには、上記のように考え行動するように諭してみてほしい。こうした教育的働きかけによって感情コントロールができるようになれば、職場のトラブルも取引先とのトラブルも、徐々になくなっていくはずである。