「大人には“大人の脳”に適した学び方がある」――そう指摘するのは、脳内科医の加藤俊徳氏だ。例えば、勉強した内容を覚えるときは、脳の使い方にポイントがあるという。リスキリングや学び直しを始める上で押さえておきたい、ビジネスパーソンにとっての「最強の学び方」を解説してもらった。(聞き手/ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
加齢で記憶力は下がらない!?
知識を“血肉”にするための勉強法
――ご著書『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』では、「記憶力は加齢によって下がらない」と指摘されていました。ただ、年を重ねると、覚えが悪くなったと感じる人も多いですよね。なぜ、記憶力が下がったと感じるのでしょうか?
一番大きな要因は、記憶力をそれほど使わなくなったことだと思います。もっといえば、“血肉になるような”記憶力の使い方をしなくなったということです。
記憶は大きく、「短期記憶」と「長期記憶」に分けられます。
短期記憶は、その場その場で物事を処理するときに使う一時的な記憶(ワーキングメモリー)のこと。ただ、この短期記憶はすぐ消去されてしまいます。そのため、勉強などで知識を身に付けるには長期記憶が重要なのですが、覚えが悪くなったと感じる人は、覚えたことを長期記憶にするという脳の使い方ができていないのです。
また、睡眠時間も記憶力と関係しています。基本的に1日の睡眠が7時間以下になると、記憶力が低下したり、ミスが増えたりするといわれています。
――覚えたことを長期記憶にするには、どうすればいいのでしょうか?