クラウドファンディング写真はイメージです Photo:PIXTA

「新NISAをきっかけに投資を始めたが、もっとリターンが大きい投資にチャレンジしたい」と考えている人に紹介したいのが、非上場のスタートアップ企業に投資できる「株式投資型クラウドファンディング」。例えば、もし創業時のメルカリに100万円投資していたら、上場した時には100億円の価値、つまり1万倍になっていたことになります。成長するスタートアップを見極めることができれば、そんな宝くじのようなことも起こりうるのです。

※本稿は、波多江直彦『日本一やさしい スタートアップ投資の教科書』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

エンジェル投資を民主化する「株式投資型クラウドファンディング」

 非上場のスタートアップが資金調達を行える仕組み「株式投資型クラウドファンディング」。本稿ではこの仕組みの魅力とともに、投資家の皆様に知っておいていただきたいリスクを紹介します。

投資家にとってのメリット

スタートアップに関わる楽しみ

 株式投資型クラウドファンディングの最も大きな意義。それは、「創業期の刺激と喜びをシェアし、近くで応援できる」という点です。例えば自ら起業したりスタートアップで働く場合、通常は極めて限られた数の企業にしか関われませんし、個社に依存するという大きなリスクを伴います。

 しかし「エンジェル投資」という形でなら、自分が共鳴した志を持つ起業家を応援し、さらにその当事者に近い存在として関わることができます。挑戦する人も、応援する人どちらも、理想の未来に向かって挑戦できる。これが、株式投資型クラウドファンディングならではの醍醐味だと思います。

「こんな社会貢献の仕方があるんだ」――社会の変革に直接関われる

 株式投資型クラウドファンディング投資家のアキオさん(仮名)は機械メーカーを定年退職後、とある大学発スタートアップの技術担当として勤務していました。70歳を目前に引退を考えていたところ、あるきっかけで株式投資型クラウドファンディングを知り、「こんな社会貢献の仕方があるんだ」と興味を持ったといいます。「勤める」以外の方法でスタートアップを応援したいと思い、エンジェル投資家としてデビューすることを決意。メーカー勤務のキャリアもあり、イークラウドでは技術系のスタートアップ3社に投資されたそうです。さまざまな企業の成長シミュレーションを想像することが楽しみで、「スタートアップが成長するダイナミズム(活力)が一番のリターン」と表現しています。

 スタートアップを日本に生み出すことで、社会に大きな変化を起こしたい、自らの投資に意義を見出したいと考えて株式投資型クラウドファンディングに踏み切る投資家もいます。そういった意味で、スタートアップへの投資は選挙で政治家に一票を投じることに似ているのかもしれません。