証券だけではない、銀行や保険業界でもやはり解雇、そして減給の情報は珍しくなく、ニュースですらならなくなった。そしてその動きは、香港に支店を置く中国資本証券会社、投資銀行などが職員に「支給済みボーナスの返上」を要求し、その額は最大で数千万香港ドル(約3億~4億円)に上るなどと報道されている。また、香港メディアによると、今年に入って5月までに中国系証券会社のうち21社がその香港支店を閉じ、その数は昨年1年間の6割以上に相当するという。

 こうして業界外部では綿にくるむようにしか伝えられてこなかった中国金融業界の不況ぶり。しかし7月初め、「超大型爆弾」が投げ込まれた。

投資銀行の女性職員が
会社のビルから飛び降り自殺

 SNSで「中金公司の女性職員が会社のビルから飛び降りた」という情報が広がったのは、7月3日夜。

 中金公司とは、中国の国有投資銀行「中国国際金融股分有限公司」のことだ。かつて、朱鎔基・元首相の息子がCEOを務めていたことで知られ、中国の石油関連企業や銀行など国有企業の海外上場やアリババのH株※上場にも関わってきた、文字通り巨大なトップ投資銀行である。

 そこの職員が3日の昼間、事もあろうに上海オフィスのビルから飛び降りて亡くなったというのだから、業界に与えた衝撃は大きかった。

※H株…香港証券取引所に上場している中国企業のうち、中国本土に登記されている企業の株式の総称