翌日、中金公司は職員が自殺したという事実を認めたが、オフィスのあるビルから飛び降りたという説は否定した。またその原因は個人的なもので、当人と遺族のプライバシーを考慮して詳細は公表せず、また周囲にも無責任な発言は慎むよう求める声明を発表した。

 そしてその後、同事件に関する発表は行われなくなった。

 だが、業界関係者はこの事件の話題で持ちきりになった。そうしてネットで流れた情報や彼女を実際に知るという人たちが漏らした発言で、事の次第が明らかになった。

中金公司の平均年収は2400万円、
自殺の原因は減給の通告?

 亡くなったのは1994年生まれの女性、鄭さん(30歳)。中金公司ではこの日、今年に入って2回目の減給を職員に通知したところだった。鄭さんはそこで受けた減給の通告にショックを受け、衝動的に飛び降りたらしい。

 中国金融業界のトップ企業である中金公司は、賃金が飛び抜けて高いことでも知られている。2021年時点での職員平均年収は116万4200元(約2400万円。以下、換算レートは8月中旬のものを使用)といわれた。

 2022年、SNSに「1993年生まれの夫の月給よ」という書き込みとともに、同社職員の額面8万2500元(約170万円)の給料明細がアップされたことで大きな注目を浴びた。この給料明細は一時、捏造も疑われたが本物だったらしい。この、ひけらかし屋の妻を持つ男性は停職処分となり、最終的には転職を余儀なくされたといわれている。