疑惑の投信(下)Photo:PIXTA

社長に外国人を据え、続々と海外の資産運用会社と提携するなど、海外に活路を求めている日興アセットマネジメントだが、実際のところ、外国絡みの商品開発や企業買収は失敗している。看板商品であるアーク関連のファンドのパフォーマンスは低く、外国企業買収は失敗。海外拠点は赤字体質である。グローバル化失敗の根源には、三井住友トラスト・ホールディングスが推し進めた「上場計画頓挫」があった。(フリーライター 村上 力)

三井住友THが09年に日興アセット買収
上場準備で「グローバルな運用会社」に仕立てる

 日興アセットマネジメントは、社名に「日興」を冠しているものの、旧日興証券を傘下に持つ三井住友フィナンシャルグループ(FG)ではなく、三井住友トラスト・ホールディングス(TH)の子会社であるという紛らわしい立ち位置にある。

 元々、旧日興証券と共に日興コーディアルグループの子会社であったが、シティグループによる買収と経営悪化によるリストラで旧日興証券は三井住友FGに、日興アセットは2009年に三井住友THに買い取られた。

 三井住友THには当時、住信アセットマネジメントと中央三井アセットマネジメントがあった。アセットマネジメント会社が複数併存することになった三井住友THは、前記2社を合併する一方、日興アセットの上場を計画した。

 この上場計画で推し進められたのが、「グローバルなアセットマネジメント会社」となることである。目論見書では、海外における積極的なビジネス展開やアジア市場における運用チームの強化がうたわれた。

 だが、この上場計画とグローバル化が歯車を狂わせることになる。その全貌を次ページで解き明かす。