「二次会はカラオケに行こう!」
飲み会がやっと終わったと思ったら、まさかのカラオケ。人前で歌うのは恥ずかしいし、正直早く帰りたい。でも、場の雰囲気的に行かざるを得ない…誰しもそんな経験をしたことがあるだろう。カラオケに苦手意識を持っている人は少なくない。
新刊『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の著者で、大手広告代理店時代に最大28回/月の会食を経験した会食専門家・yuuu氏も、歌うことが苦手で、カラオケには大いに苦労したという。そんなyuuu氏が試行錯誤の末に編み出した、カラオケが苦手な人でもその場を乗り切れる「ビジネスカラオケ戦略」について伺ってみた。(聞き手/『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

職場の人とカラオケに行ったとき「好感度がガタ落ちする」残念な行動・ワースト1Photo:Adobe Stock

他の人が歌っているときに「スマホを見る」のは絶対NG

――本書には、会食・飲み会の成功メソッドだけでなく、カラオケが苦手な人向けの「サバイバル術」が載っています。私も、あんまりカラオケに行きたくないタイプなので、すごくためになりました。

yuuu カラオケの対処法は、誰しも興味があるテーマだと思います。

 僕自身、歌は上手くないけれど、ひどい音痴でもないという非常に微妙な立ち位置で、そんな中で「どうやってカラオケを乗り切るか」にはかなり悩みました。

 結果的に、歌い手として個性がないぶん、その他の面でポイントを稼ぐ方法を2つ見つけました。1つめが、「誰もが入れたくない1曲目」を率先して入れることです。

――おお、これは周りの評価が上がりそうですね。

yuuu そうなんです。1曲目は誰もが敬遠しますが、そこを爽やかに「僕が行っちゃいますね!」と進み出れば、「先陣を切って、みんなが嫌がる1曲目を入れてくれた」と思ってもらえて評価が上がります。

――もう1つのコツは何でしょうか?

yuuu 2つめが、他の人が歌っているときに「スマホをいじらない」ことです。

――なるほど。カラオケ中にスマホを見ている人、多いですよね。

yuuu 夜遅くなってくると疲れてきますし、ものすごくスマホを見たくなるんですよね。でも、周りの人が歌っている最中にスマホをいじっている姿は非常に印象が悪く、好感度がガタ落ちします。スマホを見たい気持ちをグッと我慢して、真剣に歌を聞きましょう。

 そうすると、「この人は、俺が歌ってるのをしっかり聞いてくれているな」と評価されて、人柄が信頼されるようになります。そう思ってもらえるだけで、カラオケにおいては十分合格点です。

 つまらなさそうなそぶりを見せずに真剣に歌を聞こうとしている姿勢は、いい意味ですごく目立つんですよね。

昭和世代をカラオケで喜ばせるコツとは?

――本書には、「1970~80年代生まれの世代が喜ぶ歌手・曲リスト」も載っていましたね。

職場の人とカラオケに行ったとき「好感度がガタ落ちする」残念な行動・ワースト1『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』P.358~359より

yuuu これは、ある程度上の年代の人とカラオケに行っても、場がしらけずに盛り上がるであろう曲をセレクトしたリストです。

――私はまさにドンピシャの世代でして、気分が上がる曲ばかりだなと思いました。

yuuu ありがとうございます。このリストに載っているのは、70~80年代の曲がメインですが、平成の曲もいくつか入っています。これには、ワケがあります。
 
 どういうことかというと、昔の曲ばかりを選んでいると、昭和世代の人に「自分たちに気をつかっているんじゃないか」と勘ぐられてしまうので、あえて年代をずらした曲も入れるんです。

――つまり、迎合しているように見せないテクニックだということですね。

yuuu その通りです。でも一方で、昭和世代が全く知らないような曲を入れてはいけません。

 そこで僕がおすすめしているのが、「イマドキだけど『紅白歌合戦』で歌われた曲」です。そういう曲であれば、昭和世代でも一度は聞いたことがあるでしょうし、「俺この曲知ってるよ」とマウントをとりたがる人も結構いるので、意外と反応がいいんです。

 そういった意図で、あえて様々な年代の曲をちりばめて、気をつかいすぎていると思われないように工夫したのが「1970~80年代生まれの世代が喜ぶ歌手・曲リスト」になります。

 ちなみに僕は、上の世代の人から「古い曲ばっかり歌ってるけど、俺らに気をつかってるんじゃない?」と聞かれたときは、「いえ、親が車の中でこの時代の曲をよく流していたので、昔からずっと好きなんです」と答えるようにしています。

――なるほど。やはり、会食と同じくカラオケにおいても緻密な戦略が必要なんですね。

yuuu そうですね。会食の核心は「他者への想像力」にありますが、カラオケにおいても「全員が知っている曲を入れる」「人の歌をキチンと聞く」といった思いやりの心が最も重要です。

 あくまで職場の人やクライアントとのカラオケは「ビジネスカラオケ」です。自分が歌いたい曲はプライベートで入れればいいので、常に他者への心配りを忘れないようにしましょう。

(本稿は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の著者で、会食専門家のyuuu氏へのインタビューをもとに構成しました)

yuuu
会食専門家・幹事研修講師 
京都大学大学院修了後、新卒で大手広告代理店に入社。百戦錬磨の会食猛者達に揉まれ、最大28回/月の会食を経験。その苦戦苦闘の末に、すべての会食・食事会を誰もが成功に導くことができる、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。
現在は、自らセッティングした会食をきっかけに、念願のスタートアップ企業に就職。転職後も会食を通じて信頼関係を構築した企業から仕事を受けるなど、会食で人生の起点を創り出した。
『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』が初の著書。本書特典の「珠玉の会食店/困ったときのハズさない店リスト」は、8年もの期間、ほぼ365日名店巡りを続けてきた記録の集大成。