「今度クライアントと会食するから、『いい感じの店』探しといて!」
このような指令を上司から受けることがある。しかし、「いい感じ」という言葉はとても抽象的で、店選びの軸としてはあまり役に立たない。結局、なんとなくレビューが高い店を選んでみたものの、相手にあまり喜んでもらえなかった…往々にしてこのような結末になりがちだ。「会食が苦手だ」と感じている人も少なくないだろう。
そこで今回は、新刊『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の著者で、大手広告代理店時代に最大28回/月の会食を経験した会食専門家・yuuu氏に、一流の人がリピートする「何を食べても美味しい」絶対ハズさない店を伺った。(聞き手/『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成/ダイヤモンド社 根本隼)

【8年間、毎年365日外食してわかった】一流の人がリピートする「何を食べても美味しい」絶対ハズさない店Photo:Adobe Stock ※画像はイメージです

予約が取れない店」の予約の取り方とは?

――本書の特典になっている、会食専門家のyuuuさんが厳選した「珠玉の会食店・困ったときのハズさない店リスト」は、全国津々浦々のお店のおすすめポイントや個室の有無などが載っていて、一生使える最強のリストだなと思いました。

 今回は、この中でも特に、ゲストに喜んでもらえたお店をご紹介いただけますでしょうか。

yuuu ひとくちに会食といっても予算感は様々だと思いますので、いわゆる「高価格帯」のお店と、そこまでお金がかからないお店を分けてお伝えします。

――誰もが知りたい情報ですね。ぜひ教えてください。

yuuu まず、最近行った高価格帯のお店だと、「銀座 しのはら」という割烹での会食は大成功しましたね。

 このときは、クライアントが相当な食通だという情報を事前に入手していました。そういうタイプの方を喜ばせるには、「なかなか予約が取れない店」を選んで、驚きを与えることが重要です。

 その観点で選んだのが、この「銀座 しのはら」でした。

――なるほど、「予約が取れない」という特別感が、ゲストにインパクトを与えるわけですね。サービス面ではいかがでしょうか。

yuuu このお店の稀有なポイントは、料理の美味しさはもちろんのこと、料理の出し方や説明などの「フードプレゼンテーション」がパーフェクトなところです。

 例えば、「今日は端午の節句なので、それにちなんだお料理をお出しします」というように、日本の四季折々の風習や行事に合わせた料理が次々と提供されます。

 驚くほど楽しい時間が過ごせる、いわば「食のエンターテインメント」が詰まったお店です。

――ちなみに、「なかなか予約が取れないお店」は、どうすれば予約できるんでしょうか?

yuuu 予約を取るにはいくつかポイントがありますが、特に重要なのは、「食通の知り合い」を作っておくことです。

――なるほど、やはり知人を通じて予約するのが一つの手段なんですね。

yuuu そうですね。「銀座 しのはら」の場合はまさに、僕の知人が運よく予約を取ってくれました。

 高価格かつ予約困難なお店で席を確保したい場合、知人を通じてそのお店と懇意にしている方を見つけて、「このお店を〇月〇日に会食で使いたいのですが、うまく席を取れるでしょうか」という相談を早めにしておく必要があります。

 なので、そのぶん日程調整も前倒しで早めに進めないといけません。

――座席は、カウンターとテーブル、どちらにしましたか?

yuuu カウンターにしました。関係性を深めたいという狙いがあったのと、人数が3名だったので、テーブルにする必要はないと判断したからです。

――会食専門家のyuuuさん的には、何名までならカウンターでOKですか?

yuuu 最大4名までですね。ちなみにサシの会食だったら、僕はテーブルよりもカウンターがおすすめです。

 なぜかというと、第一に、カウンターの方が相手との距離が近いので親密性が上がります。さらに、テーブルでサシだと、少し話が途切れたときに目線のやり場に困りますが、カウンターなら調理の様子を眺めることで、無言の時間を自然にやり過ごすことができます

 いわゆる「気まずい沈黙」が生まれにくくなるので、これは意外に大事な要素だと思っています。

――確かに、2人きりで向き合い続けるのは、結構大変ですよね。

yuuu そうなんです。なので、僕はサシの会食ならカウンターを積極的に使って、4名以上になるときはテーブルや個室を利用するようにしています。