否定されそうになったら
さらに「上位概念」で合意を得る

 とはいえ、WHY/WHATがすり合わない時にはどうしたらよいのか、という問題は残ります。

 その場合は、さらに一段上の「大目的」「中長期的なゴール」で合意を試みましょう。

 とても極端なことを言えば、「世界が平和な方が良い」とか「戦争はなくなった方が良い」ということを否定する人はいません。それと同様に、「業績が上がった方が良い」「市場シェアを伸ばした方が良い」「顧客満足度を高めた方が良い」というような話は、ほぼ全ての場合において「全員が合意する」テーマです。

 そういう大目的のために、今回の活動があるという位置づけにできれば、頭ごなしに全てを否定されることはなくなります。先ほどの例で言えば、「若者を狙ってブランドの若返りを図る」がダメでも、「当該ブランドの売り上げを、中長期的に伸ばしていくべき」という部分を反対されることはまずないでしょう。

 したがって、こちらが提示したWHY/WHATを否定された場合は、一段上の上位概念に立ち返って、「私たちは、同じ方向を向いている」と確認することが有効なのです。

 ただし、一点注意が必要です。

 それは、提示した具体的な提案を叩き潰されてから、こういう大きな話をすると「後出しじゃんけん」に見えてしまうリスクがあることです。「小手先のテクニック」を弄していると思われてしまい、上司の逆鱗に触れ、かえってうまくいかなくなることがあります。

 そうしたアクシデントを防ぐためにも、相談を繰り返す中で、このテーマは大きな話・上位概念の話をした方が良さそうのか、具体的な提案のWHY/WHATの話をしていっても大丈夫なのかなどを、しっかりと見極めることが大事だと言えます。

 気難しい(と周囲に思われている)役員・上司と、良好な関係を構築できれば、仕事がスムーズに進むのみならず、あなた自身の周囲からの評価も高まっていくことは間違いありません。