大沢池「観月の夕べ」で中秋の名月を堪能する

大覚寺菊の御紋をいだく大覚寺(右京区)の勅使門。天皇や天皇の勅使が通るときだけ開かれる

 京都の観月イベントの中で、最も壮大なスケールを感じられるのが、嵐山嵯峨野の大覚寺(右京区)境内にある大沢池で行われる「観月の夕べ」でしょう。猿沢池(奈良)、石山寺(滋賀)と並ぶ「日本三大名月鑑賞地」として名高い、京都のお月見ベストスポットです。今年は9月15日~17日の午後5時30分から。午後8時30分には受け付けが終わるのでお早めに。

 大覚寺の前身は、平安時代初期に第52代嵯峨天皇が営んだ離宮。嵯峨天皇が舟を浮かべてお月見を楽しんだことにちなみ、空想上の動物である龍や鷁(げき)をモチーフにした龍頭鷁首舟を大沢池に浮かべます。残念ながら、舟上でのお茶席はすでに完売しています。

 3日間、月を望む場所に設けられた祭壇に、おだんご、芋や豆などの野菜、花を供え、五穀豊穣と人々の幸せを願う満月法会が執り行われます。屋台や京都の名産品を販売するお店も並び、たくさんの人でにぎわいます。

 大覚寺の周囲には高い建物がありません。大沢池の畔に立てば、人影も気にならず、東山から昇る月と池の水面に映る月、二つの月を観賞することができます。平安時代の貴族が愛でたのと変わらない、そんな風趣が味わえるのが「観月の夕べ」最大の魅力です。