二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!#14Photo:SOPA Images/gettyimages

金利の上昇やインフレなどマクロ環境の変化に加えて、オフィス市況の回復や建築コストの増加など強弱材料が目立つ不動産&住宅セクター。内需セクターのイメージが強いが、米国の金利動向も業績への影響が大きく、足元では「二極化」も進行している。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#14では、不動産&住宅セクターの本命企業を専門家に直撃。財閥系大手の頂上決戦、住宅銘柄の勝ち組、さらには隠れた注目企業など複数の角度から強い株を探した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

金利上昇による三つの不安
業績への影響が軽微な理由とは?

 野村證券の福島大輔マネージング・ディレクターは、金利の上昇は三つの側面から不動産セクターに対して不安を生じさせると指摘する。「利払いの上昇」「住宅ローン金利の上昇による販売減」「不動産投資の妙味が薄れること」である。

 だが、この3点について福島氏は「それぞれ否定できる」と断言する。

 利払いの上昇については多くの会社が借金を長期化、固定化しており、業績へのダメージが小さい。また、金利上昇の背景には「景気の回復」や「デフレ脱却」といったプラスの面があり、オフィス賃料や不動産価格の上昇にもつながる。実際、三鬼商事のデータでは今年の5月に都心オフィスの賃料は底打ちしている。

「三井不動産、三菱地所、住友不動産にヒアリングをすると、既存のテナントに対して5~10%程度の値上げをお願いしているケースが多い。金利の上昇は賃料上昇や空室率の改善で相殺できるはずだ」(福島氏)

 住宅ローン金利も依然として絶対水準が低い。不動産投資についても「海外と比較して、金利と利回りのスプレッドが厚い。賃料増によって利回りも回復する」(福島氏)ため、今すぐに市場が冷え込むことは考えにくいという。

 SMBC日興証券の田澤淳一シニアアナリストも「大事なのは実質金利」だと指摘する。金利が上昇した分、インフレが定着すれば、不動産にはニュートラルだからだ。

「業績の堅調が確認でき、インフレ定着や内需物色の流れになる中で、株価は上値を追っていくのではないか」(田澤氏)

 では、今から狙うべき銘柄は何か。

 実は足元では不動産・住宅セクターは二極化が進行している。次ページでは大手企業の動向だけでなく、意外なダークホースや周辺分野の伸びる企業も紹介していく。