「エヌビディアの動向」に世界中の投資家が一喜一憂するほど存在感が高まっている半導体セクター。中長期での成長期待が強い一方、「生成AIバブル」は終焉するという声もある。足元の株価は調整気味だが「絶好の買いチャンス」になるのか、それとも「落ちるナイフ」をつかむことになるのか。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#16では、グローバル競争を勝ち抜き、高値更新が狙える半導体銘柄を探した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
株価が下落した局面は
絶好のエントリーポイントか
7月以降、日米の株価指数は値幅の大きい相場が続いている。その中でも特に「強気」と「弱気」の見方が錯綜し、株価が乱高下しているのが半導体関連銘柄だ。
中長期での成長期待が強い一方、「生成AIバブル終焉」をあおる悲観的な分析が台頭。エヌビディアの決算やニュースに過剰反応するような相場が続いている。
期待感で大きく株価が上昇していただけに、指数以上に急落した銘柄も少なくない。半導体製造装置は日本企業が強い競争力を持つ数少ない成長分野だが、このまま失速してしまうのだろうか。
だが、その心配は現時点では小さそうだ。モルガン・スタンレーMUFG証券の和田木哲哉シニアアナリストは半導体製造装置メーカーについて「強気でみている。株価が下落した局面は絶好のエントリーポイントだろう。ただし、その中で銘柄によって温度差が出てきている」と指摘する。
けん引するのは生成AIである。
「マイクロソフトがオープンAIと組んで、検索エンジンのシェアを伸ばしている。生成AI向けの半導体と装置の需要は伸びていくだろう。仮にマネタイズが先だとしても、マイクロソフトが投資を続ける限り、グーグルやアマゾン・ドット・コムも投資をやめないはずだ」(和田木氏)
半導体製造装置は大きく前工程と後工程に分類できるが、特に有望なのは後工程である。前工程については中国が国産化を急ピッチで進めているからだ。
「一部の後工程の工場は設備稼働率100%という状況が続いている。前工程では、生成AI向けのHBMの旺盛な需要を背景にメモリの投資が期初予想よりも上振れしているが、先端の露光装置は相対的に厳しくなっている」(和田木氏)
次ページでは、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、高値更新が狙える半導体製造装置メーカーを紹介。また相対的に厳しい企業や、日本市場が抱える特有のリスクについても解説していく。